雨乞の滝 (小樽市)
2007年当時雨乞の滝に関する情報はほとんどありませんでした(地形図に記載があるにもかかわらず)。遡行で行けるところまで行けばいいや、みたいな軽い気持ちで探索してみました。
雨乞の滝 概要
読み | あまごいのたき |
場所 | 小樽市天神 |
川名 | 勝納川 |
落差 | 8m |
幅 | 5m |
形状 | 直瀑 |
地形図 | 於古発山(おこばちやま) |
難易度 | ★★★★★ |
特記 | 滝つぼが異常に深い |
勝納川 入渓地点までのアプローチ
ルート (R=国道 r=道道) | 駐車場 | 徒歩 | 特記 |
R393→r697→林道→遡行 | なし | 林道5分遡行120分 |
天神浄水場まで
国道5号線小樽市内奥沢十字路から国道393号線赤井川方面へ進みます。
2kmほど進むと国道393号線はは左折しますが穴滝、雨乞の滝へは左折せずに直進します(この道は道道697号天神南小樽停車場線)。
さらに2km進むと右手高台に天神浄水場の建物が見えます。この先林道は二股になっていますが左股は3年前同様通行止め。滝へは右股を進みます。
前回の訪問は7月だったので草木が伸び放題、車体をこすりながら進んだ記憶がありますが、今回はまだのびきっていないだけでなく草刈りがしっかりなされている感じがしました。
路面の方は前回同様でこぼこが多く、あたりまえですがスピードはあまり出せません。
勝納橋まで
1.5km進むとまた林道が二股に分岐。どちらも一般車両はここで通行止め。穴滝訪問時同様右股のゲート前に車を駐めます。熊注意の大きな看板がありました。
右股は「穴滝」への道ですが途中で勝納川に下りるのはほとんど不可能であることを確認していたので却下。今回は、左股林道と勝納川の交点から入渓、遡行して雨乞の滝を目指すことにします。左股を進んで150mも進めば入渓想定地点の勝納橋が見えてきます。
雨乞の滝をめざす勝納川遡行 2007年の記録
勝納川入渓まで
橋の下流側で、橋の下の流れと、別の沢とが合流しているのが確認できる。ということは、この橋は勝納川にかかるもので間違いはない。橋の上から上流の方を見ると・・・、けっこうむずかしそう 😕 。
川幅はそれほど広くないが、大きめの石がごろごろしている。水深はそれほどないように見えるが、季節柄流れはやや早く感じる。
ただし、川に下りること自体はそれほど難しくなさそうだ。少ないネット情報から、川と林道との落差がもっとあるものだと想像していたのだが、このくらいなら難なく下りられる。
この先どういう状況になるかは全くわからないが、進めなくなったら、この滝はあきらめるくらいの軽い気持ちで入渓することにする。
勝納川序盤の様子
サワーサンダルに履き替えて川に入る。9時55分。
川底には、橋の上から見たように、大きめの石がいたるところにごろごろしている。右岸側は薮状態の河原、左岸側は急斜面という感じで、基本的には川の中を歩いていく。
一歩一歩、確実に足場が安定するのを確認しながら進むので、時間がかかる。時折、深みや速い流れがあるが、これは薮の中を進む。
いきなり堰堤に出くわす
歩き始めて15分ほどだったか、いきなり前方に堰堤が現れる。高さは5mほどであろうか。25000分の1地形図上では、この川に堰堤のたぐいは表記されていないので、ちょっとあせる。
右岸側は堰堤の端が断崖に接しているので、通過は不可能。左岸側はやや急な斜面で草木はぼうぼうだが、進めなくもなさそうだ。笹藪や木の枝につかまりながら、それほど時間もかからず無事巻くことができた。
勝納川は上流に行くほど荒れてきた
堰堤の上に出ると、石ごろごろ状態が一転、土の川底となるのが見える。水の流れもゆったりしている。ここからは少しペースをあげられそうだ。写真では足首がつかるくらいの水深に見えるが、実際は膝がつかるくらいの深さがあった。
それにしても、水がとても澄んでいる。堰堤前のごろごろした足場も、澄んだ水のおかげで、川底を目で確認しながら進んで来られたので、負担が大分軽くなったと思われる。
しかし、足場のよい状態はほんの200mくらいだった。その先はまたゴロ石状態に戻る。しかも進むにつれて、ころがる石も大きくなってきたような気がする。というか、あきらかに歩きづらくなっている。こんな状態が、延々と一時間以上も続いた。
2つめの堰堤はかなり手強かった
行程はきびしく、景色の変化は乏しく、歩くのにちょっと辟易してきたころ、前方から大きな水の音が聞こえてきた。ついに辿り着いたか?!。気持ちははやるものの、やっぱりゆっくり進むしかない。
滝状の流れがちらっと見えたとき、一瞬やった!!と思ったが、次の瞬間・・・ 絶句 。またしても堰堤。
しかも今度のはかなりでかい。高さは10mはあるだろう。これを越えるのはかなりきびしそうだ。右岸は最初の堰堤の時同様、断崖の壁に接している。左岸側もほぼ同じ。
ただ、手前から大きく巻けば、進めそうな気もするが、ささ薮におおわれている。自分の技量では無理かなとあきらめかけるも、モイチャン滝を越えたときに比べれば、危険度はかなり低いし、チャレンジだけはしてみることにする。
堰堤手前20mほどのところから、笹につかまりながら急斜面を堰堤を見下ろす高さまで登る、そこから堰堤の淵まで斜めに下りる作戦。
登り切るまでは非常に大変だったが、下りて堰堤の方へ向かう時は、薮の密度がまばらになり、以外と楽だった。下から見上げているだけでは、上の状況がよくわからなかったが、あきらめなくてよかった。
ホッとしたのはいいけれど、帰りにこれを下りることを考えると・・・ [worried] 、いや、ここでは先に進むことだけを考える。
別沢に小さな滝状の流れを見つけるが・・・
堰堤2の上流には流れが二つあった。右カーブしているのが本流だが、それとは別に、右岸側から別沢の流れが見られる(地形図には表記がない)。
その上流に小さいながら滝状の流れが見られる。これが雨乞の滝か?とりあえず近づいてみる。高さ2mほどの小さな流れだが、末広がりに落ちる様がかわいらしい。
雨乞の滝は、勝納川本流にかかるが、この滝はどうひいき目に見ても、本流にあるとは言えない。画像におさめて、本流に戻る。
左岸の別沢に滝状の流れ
本流に戻って150mほど進むと、左岸側の斜面から水が落ちているのを発見。しかし、これも本流ではなく、しかも、滝と呼ぶにはちょっと・・・。一応画像におさめて先に進む。
この流れ、落ちる斜面が急といえば急だが、水の量は少なく登れないこともないか。もしかすると、これを登っていけば薮こぎすることなく、林道に出られるのではないか・・・?
帰りに、先の堰堤2を下りるのをどうやって回避しようか、さけるためには林道に出るしかないが、その手だては・・・堰堤2を越えてから、そんなことも考えながら進んでいった。
行く手を阻む切り立った断崖 ここまでか?
手つかずの自然の中を歩き始めて、すでに1時間半以上たっている。環境は悪化する一方。水深も深い所が多くなってきた。倒木が行く手をさえぎるように横たわっている。
別沢の滝2から200m、いや250mほど進んだところで、前方に深く切れ込んだ函状の地形が目に入る。体力もかなり消耗しているし、これを巻くのは遠目に見ても、自分には不可能だ。ここまでか・・・ ;( 。
雨乞の滝 発見! やった!×3
あきらめ半分で近づいてみると、奥の方から大きな水の音が聞こえてくる。岩の間からわずかに飛沫も見える。もしかすると・・・、急いで岩の間にはいってのぞいてみると。奥に立派な滝が落ちている。
これだ・・・ 😀 。
これがまちがいなく「雨乞の滝」だ!やった! やった! やった!
雨乞の滝を心ゆくまで撮影する
滝つぼがメッチャ深いのが強烈な印象として残っています。
函の手前にある岩場に荷物をおいて、たばこを一本ふかしてから撮影開始。
函にはいると水深は急激に深くなる。掲載した写真は、滝から10mほど離れた場所で、太股まで水につかりながら撮ったもの。
あと1m先に進めば胸までつかるだろう事が目で確認できたが、滝直下ではどれくらいの深さがあるのだろう?自分の身長よりはるかに深いのは間違いないと思われる。
帰り道は堰堤2の上から林道にぬけた
苦労してきたので去りがたいのだが、帰らないわけにはいかない。普通に考えれば、元来た道をそのまま戻るしかないが、前述の通り、堰堤2はできればさけたい。
堰堤2の上に立ったとき、林道側の斜面をみてふと思うことがあった。ここまで登ったということは、林道までの落差を縮めたということ。それなら、薮こぎして林道に出れればこんなに楽なことはない。林道は川とほぼ並行に走っているので、川に垂直にまっすぐ進めばよい。
さいわい、堰堤2あたりの林道側の斜面はそれほど急な斜面ではない。地形図で見る限り、やや急な部分をのりこして、緩斜面をしばらくのぼって、もうひとつ急な部分を乗り切れば林道に出るだろう。そうあたりをつけて斜面を登り始める。
笹藪もそれほど背丈はなく、見通しが悪くないので、薮こぎが嫌いな管理人にもそれほど苦ではない。いや、苦ではなくないが、遡行で戻るくらいなら、いやな薮こぎも我慢できる、といったところか?
林道直前で直進できなくなり、ちょっと立ち往生している内に、どこを歩いているのかわからなくなり、一瞬パニックになったが、林道カーブにあるミラーを見つけて無事林道に出ることができた。
過去記事はすべて2007年5月29日(火)の記録
雨乞の滝 動画
動画
参考になるサイト
(あれば)
最後に
最後も当時の記録からの抜粋になります。
滝そのものは、平凡といってしまえばその通りだが、ネットで見てもこの滝を見たという記録がほとんどない中、片道1時間50分という、自分の中では最長の遡行時間をかけて到達したことは、今までの滝見の中で最も印象に残るものになった。ただし、また季節を変えて見に来たい、とは思わない。
ここを歩くのは、もうこりごりだ。
訪問日2007年05月29日(火)
さいごまでご覧いただきありがとうございました・・・m(__)m