モイチャン滝 (恵庭市)
とても珍しい名前です。「イチャン」はアイヌ語で「サケやマスが卵を産むところ」ということで近くにある「漁川」の由来になっています。「モイチャン」は小さなイチャン川(漁川)という意味になるそうです。
モイチャン滝 概要
読み | もいちゃんたき |
場所 | 恵庭市盤尻 |
川名 | イチャンコッペ川支流モイチャン川旧名 茂一安川 |
落差 | 30m? |
幅 | |
形状 | 直瀑 |
地形図 | 島松山 |
難易度(林道) | ★★☆☆☆ |
難易度(遡行) | ★★★★★ |
モイチャン滝までのアプローチ
ルート (R=国道 r=道道) | 駐車場 | 徒歩 | 特記 |
R36→R117→モイチャン林道 | なし | 10分 | 林道から遠望の場合 |
R36→R117→モイチャン林道 | なし | 60分 | 遡行で滝下から見る場合 |
林道分岐から遠望地点まで歩きの場合
ここから「錦糸の滝」「モイチャン滝」「屏風の滝」共通
恵庭市街から道道117号恵庭岳公園線を支笏湖方面へ進みます。
恵庭ダムを過ぎ恵庭湖を右手に見ながら木精橋を渡ってすぐ左手のモイチャン林道に入ります。左折というよりUターンするように鋭角にカーブしています。
林道入口から600mほどで分岐がありますがこれは道なりに進み、さらに1kmほど進むと錦糸の滝ほか、モイチャン滝、屏風の滝を遠望できるポイントが有ります。車は道が広くなっている場所に駐めます。
2004年に初めて訪れた時は車で遠望地点まで進むことができました。ただし、林道そのものは荒れた感じで慣れていないと運転するのがしんどいと感じるかもしれません。
林道入口から600m分岐の奥の道路が広くなっているので車を駐めここから歩くのも一つの方法です。通行に支障をきたすことはないと思われます。2005年11月に遡行した際はここに車を駐めました。
ここまで「錦糸の滝」「モイチャン滝」「屏風の滝」共通
過去に書いたモイチャン滝の記録から抜粋
初めて訪れたのは2004年の11月。この時は林道から見下ろしただけで記録もほとんど残していませんでした。
その丁度1年後の2005年11月末、雪が積もる中モイチャン川を遡行しながら滝見した記録を掲載します。別掲「錦糸の滝」の続きとしてご覧ください。
錦糸の滝からモイチャン滝までは楽勝です
入渓地点から錦糸の滝までの行程に比べたら楽勝です。
錦糸の滝からも、その姿が遠目に見える。距離にして200mくらいであろうか?ここからでも、この滝が結構立派なものだと見てとれる。
錦糸の滝の撮影を終え、モイチャン滝をめざす。倒木が少なくなっていて、ほとんど普通に歩くことができた。
遡行してたどり着いたモイチャン滝の様子
林道から見ると、上部の傾斜が見えるため、細身の滝に見えるが、下から見ると実に堂々としている。威圧感を感じる。想像よりもはるかに立派な滝だ。この姿を見ることができただけで、難儀な場所を歩いてきた甲斐がある。
滝の幅全体から均等に水の流れがあると、もっと雄大に見えるかもしれない。この日は滝に向かって左半分は、しょぼい流れになっていた。水量も、なんとなくではあるが少なめだと感じた。
しかし、それでも30mほどの高さから一気に落ちてくる様、滝直下の水しぶきは豪快と行ってよいだろう。滝壺はなく、落ちた水はすぐ川の流れとなっている。
飛沫がとんだ跡は一部氷っていて、不思議な模様を描いていた。
モイチャン滝の動画
屏風の滝をめざすため人生で一番無謀な行動に出てしまった
この滝を見ながら、コンビニおにぎりを食べる。そして、さらに上流にある屏風の滝を見るため、どうしたらよいものか考える。
ここからは無謀な行動に対して自らを戒めながら書かせていただきます。
屏風の滝へのアプローチは二通り
林道から見てわかるとおり、この滝を越えるのはかなり難儀だ。
屏風の滝を見る一番簡単な方法は、おそらく、モイチャン林道を進み、(屏風の)滝の落ち口を越えたあたりから川におりて、右岸側から滝の横を下りていくことだろう。少なくとも、ここの急斜面を登るよりははるかに安全そうである。
モイチャン滝を巻くには・・・。左岸側は、装備無しでは絶対無理そうだ(管理人は装備をもっていないし、そんな技術ももちあわせていない)。かといって、右岸側もかなりの急斜面で一筋縄ではいかないだろう。
結局、右岸側、滝から2,30mほど手前の急斜面をまっすぐ登り、滝の方へ平行移動すれば越えられるかなと思い、やってみることにする。今来た道無きルートを戻るのもいやだったし・・・。
普通ならこういう決断はしないはずですが、高巻きで通過した記録を読んだことがあったので・・・。そもそもモイチャン滝を知ったのもこのサイトの情報でした。(今は残念ながらありません)
斜面を上ると思った以上に足場が悪い
下から見ると、写真4の青線のようにいけそうな気がしていた。
急斜面を垂直に登るのは、それほど苦労はしなかった。滝を見下ろせる高さまで上ったあと、滝の方に平行移動を試みるが、滝に近づくと傾斜は急になり、足場が悪くなる。
ところどころ氷っていて、体重をかけると滑りそうなところばかりだ。つかむものもない。高度を変え、ルートを探ってみるが、どこも同じ様な感じである。
命の綱トラロープ発見するも命がけの高巻き
あきらめかけていたところ、5mほど下に、トラロープが張ってあることに気づく(写真4の黄線)。誰がいつ、どうやってつけたのかは不明だが、あきらかにこの滝を巻くためのものだ。
まさしく「渡りに船」。あれをつたっていけば、なんとかなりそうだ。高度を下げてからトラロープに近づこうとするが、水平移動しようとするとやはり足場が悪い。トラロープの2mほど下から水平移動し、ようやくトラロープをつかむことができた。
しかし、足の下はほぼ垂直の崖。高さは少なくとも15mはあるだろう。足をすべらせたら、大けがは間違いないどころか、下手したら死ぬ。しかも、ここまでくるともう戻ることも不可能な状態だ。
まさしく命綱のトラロープをたよりに、足場をつくりながら半歩ずつ進んでいく。そしてなんとか無事、滝の上に出た。急斜面を登り始めて、およそ45分が経過していた。
結局写真4の赤線でなぞったルートを進んだものと思われる。
無事通過するも無謀な行動に反省のみ
こんなに緊張したのははじめてだ。達成感、充実感よりも、「なんでこんな馬鹿なことをしたのだろう」という後悔の気持ちの方が大きかった・・・ 。そもそも雪が積もっているのに、こんなでかい滝をサワタビで巻こうと考えること自体、無謀であった。
危機管理の欠如。今後は、自分の力量を考え、無理だと判断したら、潔く撤退しよう。とりかえしがつかなくなる前に!。
過去記事はすべて2005年11月23日(水)のものです
続けて
- 錦糸の滝の記録を見る
- 屏風の滝の記録を見る
最後に
今思い返してもよくこんな無茶をしたもんだと呆れてしまいます。ただ、この無謀な行動の唯一の副産物が上の写真。高巻きの途中で撮影したものですが、どこにもないアングルでかつ全体が滝らしく収まっている点でこの日のベストショットと言えるでしょう。
訪問日2004年11月13日(土)2005年11月23日(水)2007年10月11日(木)
さいごまでご覧いただきありがとうございました・・・m(__)m