ショシベツの滝 (浦河町)
ショシベツは「so-us-pet (ソウ ウス ペツ)=滝のある川」から来ているという説があるそうです。
ひたすら歩きました。歩いた距離だけ見ると西興部村の黒岩の滝の滝見と同レベルかもしれませんが、林道の状況とか案内看板が全然ないことを加味するとこちらの方がヘビーな滝見でした。
ショシベツの滝 概要
読み | しょしべつのたき |
場所 | 浦河町野深 |
川名 | ニシュオマナイ川支流ショシベツ川 |
落差 | 20m |
幅 | 3m |
形状 | 段瀑 |
地形図 | 元浦川上流 |
難易度 | ★★★★☆ |
特記 | あれば |
2005年当時、ショシベツの滝に関する情報はほとんどありませんでした。当時の記録には下のように記されていました。
この滝についての情報は、あまりに少なすぎる。「元浦川」「野深」「道道346号線」。滝見の何日か前、この3つの単語を拠り所に、2万5千分の1の地形図をながめた。
すると、元浦川のかなり上流*に「ショシベツ川」という支流があり、そこに滝のマークがうたれている。これがショシベツの滝なのか・・・?この時点ではわかりようがなかったが、とりあえずこの滝を目指すことにする。
* ショシベツ川は「元浦川の上流」には違いないですが正確には「ニシュオマナイ川」の支流になります
ショシベツの滝までのアプローチ
ルート (R=国道 r=道道) | 駐車場 | 徒歩 | 特記 |
R235→r346→元浦川林道 | なし | 120分 |
国道235号から道道346号線の終点まで
苫小牧方面から国道235号線を浦河町方面へ進みます。
三石町を越えて浦河町に入ってまもなく「荻伏」から道道346号野深荻伏線へ左折します。
左折後はひたすら道なりに進みます。「下野深」「野深」を通り左折からおよそ13kmで「上野深」。これも通り過ぎて3kmほどでセンターラインがなくなり、さらに1kmほどでダートになります。道道はここまで(正確に言うとここが道道の起点だそうですが)。
元浦川林道の様子
ダートから元浦川林道になります。荒れた感じはしませんでしたが、道幅が狭いところ、アップダウンが激しいところもありこういう道を走り慣れていないとつらいかもしれません。
ショシベツの滝までは元浦川林道起点から13k弱あり、車では7kmほど進めますがその先は歩きになることが多いようです。
ショシベツの滝を見たのは2006年ですが、その前年に林道途中のゲートまでは来ていました。下はその時の記録です。
ダートを7kmほど走ったところで車止めゲートが閉まっていた。崩落のおそれがあるため、一般車は通行止めにしているらしい。
歩こうかと思ったが、距離が半端でないことと、小雨が強くなってきそうな感じもしたので、今回はここであきらめ、ソガベツの滝へ移動する。
2005年5月28日(土)の記録から
上の2枚は2005年5月28日(土)撮影
2006年に書いたショシベツの滝の記録です
滝を目にするまで本当に見つけることができるのだろうかと不安でした。が、2005年のリベンジを果たすことができました。
以下、林道ゲートからの記録になります。
ソガベツの滝に向かっているのではと錯覚するほど景色が似ている歩き始め
9時5分ゲートを出発。いきなり大規模な崩落に出くわす。
谷側は深い渓谷、沢地形に走る滝状の流れ、そして小規模ながら点在する崩落跡。昨年行った、ソガベツの滝に至るまでの林道を、歩いているかのようだ。
ゲートを歩き始めてすぐ、地形図上では橋が一個しか描かれていないが、実際は2つある。1つ目が「景崖橋」2つ目が地形図に書かれている方だと思うが「渓観橋」。
植樹林から多くの人が来る場所だったんだと認識を改めました
また地形図上では、途中に建物のマークが見られ、林道途中の案内看板にあった、山荘の事だと思われるが、実際には建物はなく、土砂が山積みになっているだけだった。
そのすぐ先に、木が整然ときれいに並んでたっているの見る。結婚や誕生などを記念して、植えられた植樹林のようだ。
昭和60年代に植えられたものが多かったように記憶しているが、何カ所もの崩落跡を見るにつけ、ここに足を運ぶのは、登山をする人くらいだと、勝手に思っていたことをあらためたい。
それにしても、こういうところに記念の植樹、すばらしいことだと思う。ニュースとしてとりあげても良さそうなものだが・・・いやもしかしたらなっているかもしれない?機会があれば確認したいものだ。
景色を眺めたり、写真を撮りながら、そして途中から単調になる、林道歩きに少し辟易してきたころ、ゲートを出発して1時間弱、高度をぐんぐん下げながら、というか元浦川との落差がどんどん少なくなるというか、そしてこのあたりの感じも、ソガベツの滝までの道程とそっくりなのだが、3 4つ目の橋を渡る。橋の名前を確認してみたが、名前や施工日などが書かれたプレートが、すべて取り外されていた。理由はわからない。
橋を越えるとまた大規模な崩落跡。だだ、道の部分の土砂は取り除かれており、車が通ったとしても問題ない程になっていた。(写真2の状態ではここまで車で来ることはできないが・・・)
3つ目の橋というのはうそで4つめです景崖橋-渓観橋-忍路寒橋-名無し橋
落差30m以上と思われる立派な滝を見つける〜名前はないだろう(たぶん)
目指す滝マークの場所までもう少しのようだが、これまでよりも傾斜がきつくなってくる。崩落跡がとぎれるあたりに、滝といってもおかしくない流れを見る。でも(多分)季節限定のものだろう。
さらに少し進んで4つ目の橋が見える。この橋の下に、これまでの沢地形でみたものとは、比べものにならないくらい大きな滝状の流れを見つける。いや、これを滝と呼ばないのなら、なにをもって滝となるのか?
俯瞰で見ることになるので、正確にはわからないが、40mの落差はあるだろう。流れの感じからして、雪解け時期にしか見られないようなものではない(と思われる)。これは立派な滝だ。
橋の名前は薮蚊橋(やぶかはし)となっていたので、とりあえずこの滝を「薮蚊橋下の滝-仮-」と、ここでは(勝手に)呼ぶことにする。
本当に立派な滝でしたが、本格的な緑の季節にここまではっきり見えるかどうかは不明です。(別ページで紹介しています)
「薮蚊橋下の滝-仮-」は、対面から眺めることができたので、立派な滝と感じることができたが、ふり返って思うに、歩き始めの2つの橋の下の流れや、途中で見た沢の流れのいくつかも、離れた所からみることができれば、かなり立派な滝に見えるのではないかと思われた。
ニシュオマナイ川にかかる大きな堰堤と看板が沢に下りる目印
堰堤は「ニシュオマナイ砂防ダム」。この辺にくると見える川は「ニシュオマナイ川」になります。この下流、先のプレートが外された名無し橋の付近で別沢「ソエマツ川」と合流した後「元浦川」に名前を変えるそうです。
(看板にはシュオマナイ砂防ダムと書かれていましたが・・・)
さて、薮蚊橋をすぎてまもなく(この辺までくるとかなり疲れて、だいぶ歩いた感じだったのだが、地形図を見るとたいした歩いていない)水が落ちる音が聞こえてきた。遠目ながらかなりの水量であることを想像させる音だった。
だんだん音が大きくなり、地形図上での滝マーク直近の堰堤が見えてくる。ちょうどこの堰堤を真横から見るあたりに、転回スペースのようなかなり開けた場所がある。
看板が見えたので、近づいて見てみると「砂防ダムに立入ったり貯水池で遊んではいけません」と書かれている。堰堤の方をのぞき込んでみると、高さにして30mほどの崖になっている。「ふつうの人はこんなところおりていかないよな」そう思い、足を先に進める。
堰堤から先は高度を上げるだけ
しかし、地形図で見ると、この堰堤から滝マークまでは断崖印になっていて、実際歩いてみても、下りられそうなところは見あたらない。
200mほど進んだところで、はるか下に、川に流れ込む小さな滝状のものが見えたような気がするが、木の枝がじゃまをして、はっきりわからない。さらに進んでみるが、やはり木の枝がじゃまをして、川を見ることすらできない。
これ以上進んでも無駄だろうということで、先ほどの堰堤に戻ることにする。
堰堤からここまで来る途中、珍しいものを見つけた。鹿の角だ。一本まるごと、根本から取り外したようにきれいに原型をとどめている。これを持ち帰ることにする。
展開スペースにニシュオマナイ川への下り口発見
さっきまでよい天気だったのが、いつの間にか空は厚い雲におおわれている。小雨がぱらついてきた。このまま滝を確認できず、引き返す羽目になるのか。
天気の急変を気にする一方で、先ほどの看板が気になってきた。最初は馬鹿にするだけだったが、ああいう書き方をするということは、「河原まで下りるすべがある」のかもしれないと思い直していた。
そして堰堤を見下ろすところまでもどってすぐ、解決の糸口が見えた。スペースの一番奥、川に向かって右側に踏分を見つける。これを進めば下まで下りられるかもしれない。
小雨は上がり、空もさっきより明るくなってきた。ダメ元で進んでみる。
踏分ははっきりしていて、傾斜もそれほどきつくない。一部倒木が行く手をじゃまする場所もあるが、問題は全くない。
最初は川の上流側に進み、途中で大きくスイッチバックし、ちょうど下りはじめの位置ぐらいで河原に出た。
すぐそこには堰堤も当然見える。おそるおそる、堰堤から下をのぞき込む。高さは20mではきかないだろう。林道で聞いたのとは比べものにならない轟音に圧倒される。
ニシュオマナイ川を歩きショシベツの滝を目にする
滝を間近で見るためには遡行が必要でした。
堰堤はそこそこに、川の上流を目指す。距離にすれば300mほどのはずだが、ここからはそれらしいものは見えない。
100mほど河原を進むと川は (上流から見て)左カーブしており、どうしても川を渡らなければならなくなった。あまり深くなさそうだったので、トレッキングシューズのまま渡り、中州に出た。
するとはるか前方に小さな滝状の流れが目に入る。落差もなく小さく見えるが、地形図上のマークはあれに違いない、そう確信し中州を進む。
しかしすぐにまた川を渡らなければならなくなる。トレッキングシューズで渡るには、かなり深いし幅もある。それよりも流れがかなり早そうだ。しかし、ここまで来てあきらめるのはもったいないと思い、しきり直して進むことにする。
サワーサンダルは家に忘れてきたが、サワタビやカッパズボンは持ってきていたので、河原に戻り着替える。気になる雨はとりあえず心配なさそうだが、サワタビのゴム底だけでは足が痛い。
ゆっくりと進む。流れは速いが、思った程深くはなかったので、意外とあっさり第一関門を突破。
しかし、滝に近づくためには、もう一度川を渡り、元の左岸側にでなければならない。ここは先ほどに比べるとさらに幅は広いし、深いし流れもあきらかに速い。
なるべく浅い場所を選んですり足状態で進み、なんとか左岸側へ戻ることができた。
ここまでくると、滝が決して小さなものではないことが見える。さっきちらっと見えたのは下の部分だけで、その上にはさらに2段の流れがあって、激流となって落ちている。
見えている部分だけで、高さは25mほどあるか?その上は岩に隠れて見えないが、滝の流れになっているのは間違いないだろう。
ショシベツの滝 動画
coming soon
最後に
ショシベツの滝を目にするまでは、滝の景観そのものにはそれほど期待できなかったのですが、よい方向に裏切られました。当時の記録はこう記していました。
数少ないネット情報の中に「雪解け時期以外はみられないかも」というのがあって、チョロチョロと、わずかな流れがあるものだとばかり思っていた。
目にすることが一義で、滝そのものに対する期待度は、かなり低かったのだが、よい方向に期待を裏切られた・・・ 🙂 。
岩場の間を、怒濤のように流れる様は、感動ものだ。本当に立派な滝だ。歩いてきた疲れも、完全にどこかへいってしまった。
上段は、もっと上の方にのびているものと思われるが、岩陰になって確認することはできなかった。最初に高さ20mと書いたのは目視できる部分のことで、実際はもっと落差があると思われる。
ショシベツの滝をあとにしたのは12時30分頃。帰りは下りが多かったせいか1時間ほどで林道ゲートに戻りました。心配した天候もなんとかもってくれ、とても有意義な滝見でした。
元浦川林道崩落あとの整備の様子を
林道ゲートにもどる途中林道整備に出会ったので、最後の最後にその様子を残しておきます。
帰り道、のこり4分の1くらいのところで、ショベルカーが崩落跡を整備していた。歩き始めの大崩落の跡もすっかり整備されていた。こんな危険な場所での作業、本当にお疲れ様です、そしてありがとうございます。
このページでも、何カ所か崩落跡の写真を掲載しているが、あくまでごく一部。この林道では、いつ崩落があってもおかしくない、崩落は当たり前、そういっても決して過言ではない、実際に歩いてみた率直な感想だ。
生半可なきもちではこの林道は歩けない。
過去記事はすべて2006年5月22日(月)の記録
訪問日未踏 2005年05月28日(土)2006年05月22日(月)
さいごまでご覧いただきありがとうございました・・・m(__)m