北海道の滝めぐり 〜リターンズ〜

北海道の滝を紹介するサイトです。管理人seabirdが自らの足で赴き自らの目で確認した北海道の滝見の記録を中心に滝めぐりに役立つ情報を発信します

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クテクンの滝 (中標津町)

   

クテクンはアイヌ語で「仕掛け弓」。クテクンベツ川は仕掛け弓を置いて柵に鹿などの動物を追い込む狩りの場所だったのでしょうか?

クテクンの滝(中標津町)

クテクンの滝(中標津町) 2005年6月27日撮影

「クテクンの滝まで9㎞」の看板を見ると車で簡単に行けそうですがそうではありません。林道終点に車を止めた後は2㎞ほど川の中を歩きます。

クテクンの滝 概要

読み くてくんのたき
場所 中標津町武佐
川名 武佐川支川クテクンベツ川
落差 25m
形状 直瀑
地形図 俣落岳(またおちだけ)
第二俣落 武佐(むさ)
難易度 ★★★★★
特記 裏見の滝

中標津市街地からクテクンベツ林道終点までの行程

ルート (R=国道 r=道道) 駐車場 徒歩 特記
r150→北19線→クテクンベツ林道 あり 60分 要遡行

道道150号と北19線

林道入口の看板

林道入口の看板 これだけ見ると車でいけそうですが・・・

中標津市街から道道150号摩周湖中標津線で裏摩周方面へ進みます。中標津市街から中標津空港までは道道69号中標津空港線との重複区間になります。

その中標津空港を右手に見ながらひたすら道なりに進みます。道道150号線は途中で左折しますがこれを左折せずに直進するとまもなくT字路にぶつかります。右折して北19号を進むとまもなく「滝まで9km」の看板があるので左折しクテクンベツ林道へ入ります。

北19号は中標津町の代表的観光名所の一つ「開陽台」へ向かう道といったほうがわかりやすいかもしれません。

クテクンベツ林道

クテクンベツ林道最後の分岐は右

クテクンベツ林道最後の分岐は右へ

クテクンベツ林道は牧場までは舗装されていますがそれ以降はダートになります。道幅も十分確保されどちらかと言えばよく整備されているのではないでしょうか?走行に支障はまったくありませんでした。

途中武佐岳の登山道入り口があったりいくつか分岐がありますがひたすらみちなりに進みます。行き止まりには広いスペースが有り10台位なら楽に駐められるでしょう。


クテクンの滝を目にするまでの過程を過去記事から抜粋

2004年の6月に駐車スペースまでは来ましたがこの先どう進めばいいのかわからず撤退しました。以下の過去記事はすべてそのリベンジをはたした2005年6月27日(月)当時の記録です。

駐車スペース周辺の様子

入渓後まもなくのクテクンベツ川

入渓後まもなくのクテクンベツ川

ネット情報では、草が苅られて、道がついていることもあるようだが、今回も、昨年同様、先へ進む道は見あたらない。入山届けを見ると、今年4人目の訪問。

ここから先は道がないといったが、正確に言えば、ポストの先にかすかな踏み分けが見られる。しかし途中から遡行になるのはわかっていたし、なにしろ、薮こぎが大嫌いなので、ハナから川に入る。

昨年に比べると水量も少なく、流れに足を取られる心配はなさそうだ。

クテクンベツ川遡行開始早々堰堤が立ちはだかる

クテクンベツ川の堰堤

クテクンベツ川の堰堤

500mほど歩いたところで、大きな堰堤が現れる。高さはそれほどでもないが、直登はできそうにない。左岸の傾斜はゆるいが、草が身の丈以上に生い茂り、右岸の傾斜は半端でなく急。

ここは左岸を、大嫌いな藪こぎするしかないが、小さな沢づたいに進み、思っていたよりもすんなり堰堤の上に出る。堰堤の上に出ると右岸側の斜面にロープが見えた。なるほど「藪こぎして陸を進んできたら、ここに出るんだ」と思う。

クテクンベツ川の水がハンパなくきれいだった

クテクンベツ川

クテクンベツ川の水がハンパなく澄んでいた

川の水がメチャクチャきれいだったことを思い出します。ここを訪れた時点では間違いなくナンバー1、その後今に至るまでの中でもトップクラスの透明度だと思います。

「人がいないからこんなにきれいなのかな」と思うと同時に生活する人が増えるとその数に比例して水の透明度が減っていくのかなと、ちょっと複雑な気持ちになったことも思い出しました。

進むにつれ、徐々に傾斜がきつくなり、小さなナメ滝をいくつか越える。

思うに、ここの水はひたすらきれいだ。場所によってはイワナ小さな魚の姿もはっきり見える。いくつも川を見てきたが、こんなにきれいな水はあまりみたことがない。

水を間近に見ながら歩いているせいかもしれないが、澄みきった水の流れを見ているだけで心の垢が落とされていくようだ。大昔、日本では「水で穢れを落とす」いわゆる禊ぎという概念があったらしいが、これを見ると深く納得できてしまう。

クテクンの滝が見えてからの様子そして滝下に立つ

岩壁の崩落

岩壁が崩落したと思われる場所

入渓して40分、はるか前方に、目指す滝の上部がみえてくる。ここから先の傾斜はそれほどきつくない。元気がでてくる。

ほぼ滝の全貌が見えてくるころ、左岸側は切り立った断崖となる。高さは滝の2倍以上はあるだろうか。岩肌が一部かなりの規模で崩れ落ちている。剥がれ落ちた後の土色の壁が、そんなに前のことではないと思わせてくれる。

「今ここで大地震が起こったら絶対助からない」こういうロケーションに出会うと、いつも思うことではあるが、ゆっくりと崩落跡を越える。入渓から50分で、ついにあこがれの滝下に到着。おもわずバンザイをしてしまう。

クテクンの滝を日本の滝百選に選びたい

初めての本格的遡行(?)で滝を目にすることができた感激もあってこの時は本当にそう思いました。

クテクンの滝

遠目から見たクテクンの滝 周りの断崖は滝の倍以上の高さがある

30mほどの高さからまっすぐ落ちる直瀑の滝。かかる飛沫がとても心地よい。特別大きな滝ではないが、周りの景観と合わせて、個人的には日本の滝百選に選びたい。(といってもこのロケーションでは絶対無理だが・・・ :p )

しかも珍しい裏見の滝。この規模で裏に回れるのは、道内では丸瀬布町「山彦の滝」くらいのものだろう。

この上流にはまだ大小10以上の滝があるようだ。機会をみつけてチャレンジしたいと思うが、この滝をどうやって越えればよいのだろう?

過去記事はすべて2005年6月27日(月)の記録

クテクンの滝 動画


参考になるサイト

中標津町郷土館 夏のクテクンの滝
クテクンの滝の上流の滝が掲載されています

中標津町郷土館 冬のクテクンの滝
冬のクテクンの滝の記録があります

最後に

二度目の遡行となりますが川の中を片道一時間も歩いたのは初めてのことということもあり、クテクンの滝を見た時の感激は今でも忘れられません。同時に手つかずの自然ってこういうところをいうんだ、ってことを身をもって知ることができました。

クテクンの滝の上流にはまだ10以上の滝があるそうです。一度目にしておきたい気もしますが一人では無理でしょうね?

訪問日
未踏2004年06月04日(金)
2005年06月27日(月)



さいごまでご覧いただきありがとうございました・・・m(__)m

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