盃川上流の滝 (泊村)
2018/08/06
「盃川」で検索をかけると関連キーワードに「釣り」が必ず出て来るほど有名なスポット。その泊村「盃川」には滝のマークが2つうたれています。
今回は偶然見つけた盃川上流にうたれている滝マークを目ざすことにしました。訪問した2006年当時、この滝に関する情報はほとんどありませんでした。
盃川上流の滝 概要
読み | さかづきがわじょうりゅうのたき |
場所 | 泊村盃村 |
川名 | 盃川 |
落差 | 15m |
幅 | 10m |
形状 | 分岐瀑 |
地形図 | 稲倉石 |
難易度 | ★★★★☆ |
特記 | あれば |
国道229号線から盃川林道のゲートまで
ルート (R=国道 r=道道) | 駐車場 | 徒歩 | 特記 |
R229→盃川林道→遡行 | なし | 徒歩60分遡行20分 |
国道229号線を岩内から神恵内方面へ北上します。盃市街、盃川にかかる盃橋手前で川の左岸を通る盃川林道に入ります。盃温泉まで行くと行き過ぎです。
600mほど進むと道はダートになりさらに400mほど行くと林道が分岐していました。左は泊村の隠れた名瀑「末広の滝」へ通じるものと思われますが、滝の手前で立ち入り禁止になっているはず。なのでまっすぐ進みます。
一車線幅でやや荒れた感じのダートを3km走ると林道ゲート。その手前はかなり広いスペースになっていて、先客の車が3台くらい駐まっていました。
といっても滝見が目的ではなく釣り人でしょう。盃川はその関係の人にはかなり有名らしく、ウェーダーを身につけた人が沢を下りていくのを見かけました。
盃川上流の滝 2006年の記録から
盃川林道のゲートから先は歩くに限る
ゲートから先も、ここから見える範囲では、これまで同様の道幅が続いていて、いや、むしろこれまでより広くなっている様にも見え、車でも十分行けそうに思えたが、ゲートにはしっかり鍵がかけられていて、歩いて行かざるをえない。
しかし、結論から言えば、この道を車で進むのはかなり危険である。開いていても、決して車では進まない方がよい。
歩き始めてまもなく、持っていった地形図に「黒岩の滝」とメモが書かれているが、どんなものだったかすっかり忘れている。おそらく、黒い岩肌を、水が濡らしている程度のものだと思われる。
盃川林道から盃川にかかる滝状の流れを見る
ゲートから1km以上は歩いただろうか?、右手の沢に滝状の流れを見る。かなり上から見る関係で、落差はそれほど感じないが、広くなった川幅いっぱいに段差をもつ流れが、木の葉越しにもきれいに見える。
盃川林道の本性がだんだん現れてくる
滝(状の流れ)をみてから15分程、距離にすれば1kmほどは、何の変哲もない林道。
道幅も、林道に入った直後よりも広くなっていて、崩落のおそれがありそうなところは、歩き始めてすぐの「黒岩の滝(仮称)」付近にしかなかった。車でも十分通れるじゃないか・・・と、思い始めた頃、その考えは甘いと思わせる兆候が見えてきた。
それほど大きくはないが、無造作に転がり落ちている岩を目にする。右側の岩壁を見ると、草の葉に隠れて見えにくいのだが、いつ崩れてもおかしくない様に思える。実際この岩が落ちてきたのも、それほど前のことではないと思う。
林道の真ん中に木が生えていた?
少し気を引き締めながら進むと、その2分後、林道上に木が生えているのを見る。いや、遠くから見るとそう見えるだけで、木が、根っこから崩れて林道に落ちてきたものだった。
いままで、それなりにいろんな林道を見てきたが、こんな光景ははじめてだ。ここにきて、この林道の恐ろしさを知る。
盃川林道で印象に残る画像をいくつか紹介
林道に生えた木(?)を見てから15分ほどの間に見た盃川林道の印象的な写真を時系列で紹介します。
奥盃橋から先へ進むも・・・
林道を歩き始めて、1時間を少し越えたところで、ひとつの目印と考えていた橋に到着する。「奥盃橋」という名前だ。別沢の流れが下を通り、盃川に注いでいる様子が見える。滝は、ここから500mほど上流にあるはずだ。
とりあえず林道を進んでみると、奥盃橋の所では、ほんの5mくらい下に見えた盃川が、どんどん遠ざかっていく。最初はきこえた沢の音も、5分と歩かないうちに聞こえなくなる。もう少し近づけば、落差が少なくなることを期待して歩くが、いっこうにその気配はない。
盃林道からはるか下に滝状の流れを見つける
あきらめかけているところに、再び水の音が聞こえてくる。その音が真下で聞こえる場所で、沢の方を覗いてみると、はるか下、木の葉の間から、滝状の流れを確認する。これが目指す滝に違いない。
しかし、この場所からは沢に下りるすべはない。これで滝を訪れたことにするか、しかし、このままここを去ってしまうのも、のちのち後悔しそうだ。たばこをふかしながら考える。
後悔はしたくなかったので、沢をつめようと思うのに時間はかからなかったが、問題はどこから沢に下りるか、だ。奥盃橋からここまでの間で、沢に下りられそうな場所はない。奥盃橋から下りるのも、5mもない高さではあるものの、ちょっと難儀に思える。などと、あれこれ考えていてもしょうがないので、橋まで戻ることにする。
奥盃橋から遡行
奥盃橋まで戻り、周りを見回すと、橋の上流側から、別沢に向かって下りればいけそうな気がしてきた。遡行の準備をして早速下りてみる。
深い草に隠れて見えなかったが、いざ足を進めると、思っていたよりはるかになだらかな斜面が、別沢まで続いていて、なんの苦労もなく盃川に下り立つことができた。
この場所の水は、足首がつかる程度の深さで、歩くのにも何ら支障はなさそうだ。滝がこの上流にあることは間違いないし、あとはヘンな深みとか、乗り越えられない堰堤がなければいけそうな気がする。
水が、遠目から見る程澄んでいないのが、ちょっと残念である。
遡行の様子を画像でどうぞ
ここに足を踏み入れる人はそうはいないであろうかと思われます。転がる倒木が行く手を阻んだりするなどかなり荒れてはいましたが、とりたてて難しいということでもありませんでした。
盃川上流の滝を見た!
入渓しておよそ20分後、滝の姿を見ることができた。ひょうたんを半分に割ったような、斜面左側を、水が末広がりになって落ちている。
流れ方がちょっと中途半端に見えるが、水の多い時期にはきっと、15mはあろう川幅いっぱいに流れるのであろう。しかし、そんなに水量があったら、川の中を通ってここまでたどり着けないであろうから、それを目にすることは不可能かもしれない。
この流れからは考えられない程滝壺は深く、これを見るだけでも、水量の多い時期の様子が想像できる。この日は深い緑色がとても印象的だった。
盃川上流の滝 探索を終えての感想など
滝そのものは、それほど大きなものでもなく、流れが中途半端、こんな山奥にもかかわらず、水がそれほど澄んでいないとか、実際目にしてみると、ちょっと期待はずれの気持ちが、正直あった。
しかし、この滝については、ここにたどり着けたこと、それだけで十分意義を見いだせる。林道の状況が安定しておらず、いつ通行できなくなってもおかしくない(林道ゲートはきっと、一般の人は、歩きの通行もしてほしくないことの表れだと、あとになってあらためてそう思う)。
歩いた距離だけをみても、自分にしてはこれまでの滝見の中で1,2を競う長さだ。訪れた日から3ヶ月もたってから、このページを書いているが、この日のことは(細かいことは別として)昨日のことのように状況を思い出せる。とても印象に残る滝見となった。
最後も旧サイトから引用
なお後日、盃川についてネットで調べていたら、歩き始めてまもなく林道上から見た、「滝状の流れを遡行して見た」という記録を見つけた。
林道ゲート手前の橋のあたりから川に入るようだ。機会を見て訪れてみたい。(ネットの記録では、大雨の直後に入ったらしく、かなり苦労したようだ。どこの川もそうだが、融雪期や大雨の直後の遡行は、やはりやめたほうがよい。特に自分のような素人に毛が生えた程度の技術しかないものにとっては・・・ )
過去記事はすべて2006年6月25日(日)の記録
末広の滝のこと
2つある盃川の滝マークの内、下流のものは「末広の滝」と思われます。盃川上流の滝を訪問した2006年の数年前から末広の滝周辺への立ち入りが禁止されていました。
ゴミの不始末などマナーの欠如が目に余り泊村が立ち入り禁止の措置をとったという、北海道の滝マニアの間では有名な話です。今回、この滝をスルーしたのもこれが理由です。
あれから10年。今回この記事を書くに当たり泊村の観光ガイドを見ると「末広の滝」が村の観光スポットとして掲載されていました。
それ以上確認はしていませんが、訪問できるようになっているならぜひ行ってみたいです。
↓
2018/8/6追記
2018年5月9日にお目にかかることができました。
追記終了
訪問日2006年06月25日(日)
さいごまでご覧いただきありがとうございました・・・m(__)m